コーク~リトルアイランド ~グロンタウン ~フォタ~ キャリガロー~ラッシュブルック~コーヴ
Cork - Littleisland - Glounthaune - Fota - Carrigaloe - Rushbrooke - Cobh
リトルアイランドを出た列車は、陸橋をくぐった後、これまでより長閑な風景になります。間もなく右手に入江が現れますが、一瞬で、また右手も住宅地になります。そのあたりの左手、教会が見えるあたりが、グロンタウンの村の中心地です。
そこからまた右手が入江となります。干潮時は干潟で、満潮時は海水が満々なので、通る時によってずいぶん印象が変わるでしょう。入江越しに南側に国道が通っているのが見えます。左手は閑静な住宅街で、ゆるやかに右カーヴをしつつ、湾に沿ったグロンタウン駅に到着します。
写真の説明に「撮影地ガイド」があるものは、「フォタ」のページ下部の「撮影地詳細ガイド」で場所を詳細に紹介していますので、ご覧下さい。
グロンタウンは、相対ホーム2線2面の駅です。出口は下りコーヴ方面ホームのみで、上りコーク方面のホームは、ホームの真下が海なので、出口はありません。両ホームはフォタ寄りの跨線橋で結ばれています。
駅入口に、自動券売機が2台、並んで備わっています。
またこの駅は、ミドルトン(Midleton)への線の分岐駅です。そのため、コークからここまでは、列車本数がほぼ倍あります。駅自体は普通の相対ホームで、駅の東側で双方が分岐します。ミドルトン方面とコーヴ方面を列車で行き来する場合、この駅が乗換駅となりますが、接続も考慮されておらず、使い勝手が悪いため、この駅で乗り換える人は少ないです。
駅舎はありますが、無人化されて、普段は閉まっています。それでも他駅と違い、保線作業員などによって今も使われています。
この駅の駅名は、1994年まで、コーヴ・ジャンクション(Cobh Junction)でした。歴史的にはもともと、コークからミドルトンを経てヨール(Youghal)までの線が1859年、先に開通しました。線路もこちらが東西にまっすぐです。3年ほど遅れて1862年に、ここで南へ分岐してコーヴへ至る線が開通したので、コーヴへの分岐点という意味で、こういう駅名になったのです。しかし、ミドルトン・ヨール方面への旅客輸送は1963年に廃止され、この駅は分岐駅の地位を失い、コーク~コーヴ線のみの途中駅となりました。その後も31年間に渡り、駅名だけは、コーヴ・ジャンクションでした。1994年に、ローカルな地名であるグロンタウンに改称されましたが、それから15年後、2009年に、廃止されたヨールまでの線のうち、ミドルトンまでが部分復活しました。ですので、今はコーヴ・ジャンクションという駅名でも実体を表しているのですが、戻す理由もないからでしょう、そのままグロンタウンという駅名で存続しています。
駅前には店もなく、跨線橋から見ればわかるように、駅周辺は緑豊かな閑静な住宅地になっています。豪邸も点在しており、豪邸でない新興住宅風の家も、大きな家が多く、裕福な感じを受けます。買い物のできる店は、リトルアイランド方向に数分歩いた所にコンビニ風の商店が一つあるだけです。
上りホーム側は、駅のホームからバード・ウォッチングが可能です。とりわけ冬の干潮時は、干潟に餌を求めて色々な鳥がやってきます。一転、満潮時は水を満々とたたえた湾の風景となります。内湾で、波もないので、湖ないし大河のようにも見えます。観光客の乗降などほとんどない駅ですが、ホームや跨線橋からの景色の良さは、アイルランドでもトップクラスだと思います。
駅には無料駐車場が併設されています。そのため、パーク・アンド・ライドの利用者と徒歩での利用者が両方パラパラといて、恐らくこの区間では、コーク、コーヴ、リトルアイランドに次いで利用者が多い駅と思われます。