コーク~リトルアイランド~グロンタウン ~フォタ ~ キャリガロー~ラッシュブルック~コーヴ
Cork - Littleisland - Glounthaune - Fota - Carrigaloe - Rushbrooke - Cobh
グロンタウンを発車した列車は、直進するミドルトン(Midleton)の線路と分かれて右へゆるやかにカーヴします。もっとも、ミドルトン方面の線路は、大雑把な地図で見れば直進ですが、実際の線路は駅を出た所で何度も曲がりくねっていて、これはこれで面白いかもしれません。このようになった理由は、ミドルトン方面は一旦廃線となり、2009年に復活したという経緯によります。運行中のコーヴ方面を止めずにポイントなどの工事をしたので、仕方なかったのでしょうか。素人目にはもっと直線に作れそうに見えるのですが。
車窓右手は駅からずっと海ですが、右へのカーヴが始まると同時に左側も入江や湿地帯になります。ここの景色は干潮時はほとんど干潟で、水は僅かな水路が残っているだけとなり、満潮時は満々と水をたたえます。その先で片側二車線の立派な国道をくぐります。
国道の先も両側は入江ですが、こちらの方が海らしい海となります。そしてスラッティー鉄橋(Slatty Viaduct)を渡ります。これは本土とフォーティー島(Forty Island)とを結ぶ6連の曲弦トラス橋です。但し、フォーティー島は、かつては完全な島だったのでしょうが、今は東側の一部が地方道R624号線となり、恐らくは道路建設に伴い水路の一部が消滅したのでしょう。実際は本土と陸続きと言え、純然たる島ではありません。
それでも列車の旅は、鉄橋により島へ渡った感じになります。右手前方に廃墟のフォタ城(Fota Castle)が一瞬見えます。そして間もなくフォーティー島の西端にあるフォタ駅に到着します。
写真の説明に「撮影地ガイド」があるものは、本ページ下部の「撮影地詳細ガイド」で場所を詳細に紹介していますので、ご覧下さい。
フォタ駅は異色の駅です。公道とは徒歩15分ほど離れており、一般人が駅前まで車で行くこともできません。当然駐車場も、そして駐輪場もありません。駅を降りるといきなり森で、右手に動物園の入口がありますが、それ以外には何もありません。何故か線路の反対側に民家が1軒だけあります。
このような駅なので、動物園の開園時間中は季節や時間帯によっては訪問者で結構賑わいます。しかし、動物園の閉園時間帯は乗降客はほとんどありません。駅自体の訪問なら、そういう人のいない時間帯も面白いでしょう。日常的な利用者は、数名の動物園職員だけなので、統計上は乗降客数もコーク州全体で最低、アイルランド鉄道全体でも下から10位以内に入るそうです。
駅は相対ホームで、かつてはキャリガローやラッシュブルック同様、互い違いのホームでしたが、10年ほど前に下りコーヴ方面のホームが移設され、普通の相対ホームになりました。しかし移設前の下り旧ホームもコーク寄りにそのまま残っています。入れるならば、ホームのグロンタウン寄りが絶好の撮影地だと思われますが、残念ながら立ち入り禁止です。
下りホームのグロンタウン寄りが出口で、上りホームとは跨線橋で結ばれています。
ホームの柵が動物の体を模したデザインになっています。上りホームが黄色と黒、下りホームが白と黒です。
地元住民の利用がほぼ無く、乗降客の多くがコークなどからの往復乗車券かリープカード(IC乗車券)の客なので、この駅だけは自動券売機がありません。切符を持たずにこの駅から乗車する場合は、車内か下車駅で運賃を支払います。ちなみに、これがコーク地区唯一の車内で切符が買える例外で、それ以外はいかなる理由があっても、切符を持たずに列車に乗れば、不正乗車扱いとなり、検札があれば高額の罰金ですので、ご注意下さい。
なお、事故や工事などで列車が運休となり、バス代行となった場合、他の駅は駅前にバスが停まりますが、この駅だけは1.5キロほど離れた公道(地方道R624号線)の動物園入口が代行バスの乗降場所になります。事前に予告がある場合はまだいいのですが、急な場合、非常に困ってしまいます。
リトルアイランドから2駅目のフォタ駅のさらにコーヴ寄りが、「リトルアイランド島」から撮影できる、とは、少しくややこしいので、このあたりの撮影地を地図で説明します。
<地図の赤丸のA、B>
リトルアイランドの駅ではなく、島のはずれから、フォタ駅の前後が海峡越しに撮影できます。ここはのんびり撮影できる良い場所です。但しアクセスが無く、車ならあっという間ですが、徒歩だとリトルアイランド駅から30分かかります。こちらの地図で、リトルアイランド駅と、目印となる、DB Schenker(ドイツ鉄道系の輸送会社の倉庫)で検索してみました。2.6キロ、車で4分だそうです。リトルアイランドの駅から行くと、ガソリンスタンドを左折して、あとはひたすらまっすぐ、行き止まるまで行った場所がAで、少し手前、DBなどのサインのある方へ右折していきつくのがBです。どちらからも海越しに撮影が可能です。余談ですし、お勧めするわけではありませんが、フォタ駅を発車したコーク行き列車が見えなくなるまで撮影し、すぐ車に飛び乗ってリトルアイランド駅まで行くと、その列車に乗れるかもしれません。自分で運転していたら、駐車する時間などがあり無理ですが、助手席に乗せて、駅のそばの道路で降ろしてあげれば、信号次第ですが、乗れる可能性は結構あると思います。言いたいのは、それだけぐるりと列車が円を描いて走っていること、ここから見えない所にグロンタウン駅もあってその停車時間もあること、です。
<地図の赤丸のC>
ここはグロンタウン駅から徒歩でも10分程度、右手に教会がある交差点を左折し、線路を超えます。その先さらにリトルアイランド寄りが、湾沿いの公園になっています。その先まで行くと湾沿いに走る列車が綺麗に撮れる場所があります。駅からずっと歩きやすい道ですし、撮影もしやすい場所です。
<地図の赤丸のD>
ここは野鳥観察所のハーパーズ島です。ここはグロンタウン駅からさらに近いです。24時間立ち入りできる場所ではありませんが、明るい時間は大体ゲートが開いているので(夏は20時閉門)、お勧めです。ミドルトン線との分岐点からミドルトン方向の列車も少し撮影できます。超望遠があれば、グロンタウン駅のリトルアイランド側の遠望写真も可能です。折角ですので野鳥も見ていって下さい。
<地図の赤丸のE>
国道25号線の東行き車線(ミドルトン方面)からです。徒歩では無理で、車か、せいぜい自転車での訪問になります。片側2車線で最高速度120キロという恐ろしい道なので、道路の横断はやめて、こちら側の道端に車を停めた時は、こちら側だけの撮影にして下さい。その駐車ですが、駐車禁止ではないものの、横を車が高速で走っていますから、余裕を持って安心して停められる場所は少なく、このあたりぐらいしかありません。それ以外の場所(もっと西側)も不可能ではありませんが、列車の時間に合わせて行き、長居せず、見通しの良い所にハザードランプを点滅させて停めることをお勧めします。まあ、正直あまり行きたくない所です。
<地図の赤丸のF、G、H>
同じ国道25号線の反対車線(コーク方面)からです。E同様、徒歩では無理です。こちら車線の方が路肩に余裕がある場所が多く、車が停めやすいです。そして、Eの側と違い、電線の邪魔もなく、スラッティー鉄橋越しにフォタ駅の先まで遠望できたり、フォタ城が見えたりと、場所によって違う角度から撮ることができます。ただ、行き過ぎたら逆戻りできませんから、リトルアイランドのインターチェンジまで行ってぐるりと回って戻ってこなければなりません。時間がなくてどこか1ヶ所という方は、好みもありますが、真上から鉄橋を見下ろせるG(線路を超えるすぐ手前に車を停める)が一番のお勧めです。ここから草むらをかき分けていくと、かなり下まで降りることもできます。