コーク ~リトルアイランド ~グロンタウン~フォタ~ キャリガロー~ラッシュブルック~コーヴ
Cork - Littleisland - Glounthaune - Fota - Carrigaloe - Rushbrooke - Cobh
コーク駅を出て東へ向かう線路は、駅を出てしばらくはゆっくり走ります。左手に岩山があり、右手は古くからの民家を覗くように走ります。すぐに国道を鉄橋で跨ぐと、ほどなく右手に湾が現れます。このあたりは川と呼ばれており、コークで海に注ぐリー川(River Lee)ではありますが、どこまでが川でどこからが海かは微妙です。幅は広く、水も海水で、海につながっており、大型船も入港するので、そういう意味では海峡ないし湾と言ってもいいと思います。
その海が見え始めてすぐ、踏切があります。これが実に、コーク~コーヴ間で唯一の一般の人が渡れる踏切なのです。そのあたりから1キロほどの右手は、下の国道、リー川と対岸をやや見下ろすように走るので、眺めは悪くありません。
間もなく国道が立体交差で車窓右から左へ移ります。そのあたりからは典型的な都市郊外のロードサイド的な風景になります。左の国道沿いは車のディーラーやガソリンスタンドなどに交じって民家が並び、右手は貿易港に関連した産業地帯になります。輸入車がずらりと並ぶあたりの対岸に、コークの観光名所の一つ、ブラックロック城(Blackrock Castle)がコンテナ越しにチラチラと見えます。
その先で小さな鉄橋を渡ります。左手は道路の一大ジャンクションで、悪名高き渋滞の名所でもある、ダンケトル・インターチェンジ(Dunkettle Interchange)です。今、そのあたりの道路改良工事が大々的に行われており、悪く言えば自然破壊の姿を目の当たりにすることができます。この区間は駅間距離が長いので、ここダンケトルに駅を新設する話が昔からあるのですが、まだまだ実現しそうにありません。
そこを過ぎれば、右手にかつての貨物駅の跡が見えます。かつてはダブリンなどからの貨物列車がここまで乗り入れ、ここでトラックに積み替えてコーク周辺の南部各地へと物資が配送されていました。ギネスビールも貨車輸送でした。しかし今は貨物駅としては使われておらず、運送会社のトラック用コンテナ基地になっているようです。
その先はリトルアイランドまで、風景は少し落ち着きますが、海も川も見えず、格別の風景ではありません。右手の一部が湿地になっていて、水が溜まっています。左手はかつての国道が並行しています。
リトルアイランドは、相対ホームで2面2線の、構造的にはごく普通の途中駅です。かつての駅舎は上りコーク方面ホームのコーク寄りにありますが、無人化されて久しく、閉鎖されています。駅の出口は両側のホームともあり、両ホームがコーク寄りにある跨線橋で結ばれています。
自動券売機が、上りと下りのそれぞれのホームに1台ずつあります。
北側、下りコーヴ方面ホームの側は大きな駐車場で、パーク・アンド・ライドでの利用者がそれなりに見られます。南側、上りコーク方面ホームの側は、狭い歩行者用の通路が公道へと通じています。この公道は国道N25号のインターチェンジで、グロンタウン寄りの交差点までの短い区間、駅へ行く利用者しか歩かない歩道、つまり駅に行く以外にどこにも行けない道になっています。その交差点から南側は、リトルアイランドの古くからの村に、後からどんどんと企業などが出来た産業地帯であり、IT企業などもあり、郊外型ショッピングセンターなどもあります。そのため、この駅は住人よりリトルアイランド地区に勤める通勤客の方が多い駅になっています。
こういった駅の構造のため、下りホーム側出口は車での利用者がほとんどです。上りホームは歩行者の利用者ばかりで、絶対数はこちらが多いです。車で送迎しようと思っても、こちら側は道路のインターチェンジなので、停車すらできません。
リトルアイランドは、リトル・アイランドと2語で書いても正解です。どちらが正式なのかは不明で、駅名標は一語ですが、アイリッシュ・レールのサイトの時刻表などは二語になっています。日本と違い、何が正式といったことへのこだわりは薄いようで、通じればどちらでもいい、という感じかと思われます。
名前の通り、もともとは島です。これがなぜ小さい島かというと、対になる大きい島もあります。それがまさに、コーヴのあるグレート・アイランド(Great Island)です。グレート・アイランドの方は今も島ですが、リトル・アイランドは埋め立てなどによって本土と陸続きになっており、もはや島ではありません。しかし地名としては今も健在です。