コーク~リトルアイランド~グロンタウン~フォタ~ キャリガロー~ラッシュブルック ~コーヴ
Cork - Littleisland - Glounthaune - Fota - Carrigaloe - Rushbrooke - Cobh
ラッシュブルックからコーヴは駅間距離も短く、概ね、コーヴの町に入ったな、という感じの所を走ります。ラッシュブルックの駅の先で主要道路の下をくぐってからは、線路は切り通しのような低い所を走り、両側は木々が茂っており、眺めは特に良くありません。いくつもの小さな道路が上を跨いでいます。
それが終わり、列車がスピードを落とすあたりで、右手に海が開け、前方にコーヴの中心部が見えてきます。海側の景色は絶景というほどではありませんが、港町らしさは満点で、海沿いのプロムナードを地元の人が散歩している姿などが見えます。
左にタイタニックの壁画が見え、ほどなく列車は終着駅コーヴに滑り込みます。短い列車の旅もここで終わりです。
コーヴは行き止まりの終着駅で、ホームは片面だけです。そのため、駅の手前で単線となり、複数列車の発着はできません。コークから来た列車は、ほとんどがこの駅は数分の滞留で、コークへ折り返していきます。車輛の夜間停泊もありません。
かつて、ディーゼル機関車牽引の客車列車だった頃は、ここで必ず機関車を付け替えていたので、車止めは今より少し先にあり、ホームのない側に機関車付け替え用の線路がありました。今、その線路はラッシュブルック寄りの一部だけ、緊急用に残っていますが、列車が入線するのは非常時のみで、半ば錆びついています。
有人駅で、切符売り場もありますが、営業時間は限定的で、列車が発着する時間帯でも、半分は無人です。券売機は2台あります。トイレもありますが、駅員がいない時間帯は施錠されています。
駅の出入口は閑散とした道路に面したそっけないものですが、その昔は大きな駅で、当時の立派な駅舎は、今は博物館(クイーンズタウン・ストーリー・ヘリテージ・センター)になっています。ですので、駅のホームから元駅舎の博物館の建物を抜けて外へ出られる構造ではあるのですが、通常は一般の人が通行できないようになっています。
駅への通路はバリアフリーですが、ゆるい坂になっています。その壁に、開通150年を記念した写真と文章による解説パネルが設置してありますので、この鉄道の歴史などに興味がある方は、時間を取って読んでみて下さい。
駅前の道路は駐車可能(月~土の昼間は有料)です。観光シーズンなどは満員になります。また、駅裏の海側には無料駐車場があります。そこに車を止めた場合、歩道橋を渡って駅ホームまで、徒歩で3~5分はかかります。
ホームの横がもう埠頭で、夏を中心に豪華クルーズ客船が頻繁に入港し、コーヴの経済を潤しています。(2020~2021年はコロナで当然ながら全く来なくなりました。)
とはいえ、何も知らずに駅を降り、駅を出た人の中には、目の前に何もない寂しさに戸惑う人もいます。実際には駅を出て右へ、歩いて1~2分も行けば、徐々に賑やかになってきて、タウンセンターまでも徒歩5分程度で到達します。観光シーズンには大勢の人で賑わいます。
コーヴは坂の町です。海沿いの平地は狭く、すぐ坂道か階段なので、コーヴの住人の多くはそういった坂の途中や高台地区に住んでいます。駅などの海沿いには寄らず、上の住宅地とコーク市を直接結ぶコーヴ・コネクト(Cobh Connect)という民営バスが、2017年から走り始めました。多くの住民にとってバス停が近くて便利で、運賃も列車より安いので、かつての鉄道利用者がだいぶバスに流れました。